「東京お台場の大江戸温泉物語」が2021年9月5日をもって閉店するとヤフーニュースで報道されました。大江戸温泉物語は、江戸風情と温泉を一緒に楽めるテーマパークとして2003年3月に開業し、18年間にわたり営業を続けてきました。悲しいニュースが多い昨今、一見コロナ禍による営業成績不振かだと思ったが、同施設のホームページの告知によりますと「東京都との事業用定期借地権設定契約が2021年12月に期限を迎えるため、閉館することになった」。しかし、
そもそも「事業用定期借地権」とは何でしょうか?
借地借家法の第23条には以下のような記載があります。
(事業用定期借地権等)
第二十三条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を三十年以上五十年未満として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を十年以上三十年未満として借地権を設定する場合には、第三条から第八条まで、第十三条及び第十八条の規定は、適用しない。
3 前二項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
結果から言うと今回の物語は契約の更新および建物の築造による存続期間の延長が出来ないことになりました。契約終了後は借主の費用で現存の建物を撤去し更地にて借主に引き渡ししなければなりません。
では、なぜ大江戸温泉物語は20年で東京都との契約が終わったのでしょうか❓
平成20年第168回国会にて議員立法で成立した改正借地借家法が施行され、10年以上50年未満の期間で事業用借地権を設定することが可能になりました。社会経済情勢の変化に伴う土地の利用形態の多様化に対応するため、事業用借地権の存続期間の上限を、「20年以下」から今の「50年未満」に引き上げました。
しかし、契約締結当時の借地借家法では、契約の最長期間は20年で延長が認められておらず、東京都との再契約も認められなかったため、今回閉館することになったのです。
敷地面積は約3万平方メートルで、2003年に開業し、大浴場や宿泊施設、飲食店などがあり、お台場の名物施設の一つになっていた「東京お台場 大江戸温泉物語」の営業は9月5日まで、ぜひ閉館前に一度足を運んではいかがでしょうか。