個人が住宅を新築したり、新築または中古の住宅を購入したり、現在住んでいる住宅の増改築等をした際に、金融機関 (銀行、 信用金庫等の民間金融機関のほか、住宅金融支援機構等の公的な機関も含まれます)などから返済期間10年以上の融資を受けて住宅の取得等をした場合には、所定の手続きをとれば、自分がその住宅に住むことになった年から一定の期間にわたり、居住の用に供した年に応じて、所定の額が所得税から控除されます。
なお、この控除は、住宅とともに取得される敷地についても適用されます。
一一一一一住宅ローン控除とは
一、要件
二、新耐震基準に適合していることの証明方法
三、控除が受けら心借入金等の範囲
四、控除される金額
五、個人住民税の取扱い
六、控除を受けるための手続
七、令和5年以後の入居分の住宅ローン控除の手続
この制度の適用が受けられる住宅については、下記の一覧表に掲げるような要件があり、これを満たしていなければなりません。
一、要件
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
新築住宅の場合
①住宅を新築、または新築住宅を取得し、平成21年1月1日から
令和7年12月31日までにその住宅を自己の居住の用に供する
こと。
②工事完了の日または取得の日から6カ月以内に、自己の居住の
用に供すること。
③床面積が50㎡以上であること。
令和4年1月1日よリ、令和5年12月31日以前に建築確認を受
けた新築住宅又は建築後使用されたことのないものの取得に
ついては、合計所得金額が1,000万円以下の者(各年ごとに判
定)に限り、40㎡以上50㎡合未満の住宅も対象となります。
④居住用と居住用以外の部分(たとえば店舗など)があるときは、
床面積の2分の1以上が居住用であること。(この場合には居住
用の部分のみが控除の対象となります)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 中古住宅の場合
①中古住宅を取得し、平成21年1月1日から令和7年12月31日ま
でに、その住宅を自己の居住の用に供すること。
②新築住宅の場合の②と④は同じ
③床面積が50㎡以上であること。
④次のイ・ロのいずれかに該当すること(令和4年1月1日より)
ィ. 昭和57年1月1日以後に建築されたもの
ロ. 新耐震基準に適合することが証明されたもの又は、既存住宅売買瑕疵担
保責任保険に加入しているもの (その家屋の取得の日前2年以内に保険
契約の締結をしたものに限る。)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
増改築の場合
①自ら所有し、居住している家屋で平成21年1月1 日から令和
7年12月31日までに増改築等を行い、同日までに入居すること
②工事費用 (増改築等について、増改築等の費用に関して補助金
等の交付を受ける場合には、その補助金等の金額を控除した
金額)が100万円を超えるものであること。
③工事を行った家屋が居住用と居住用以外の部分があるときは
居住用部分の工事費用が全部の工事費用の2分の1以上である
こと。
④増改築等を行った後の住宅の床面積が50㎡以上であること。
⑤増改築等を行った後の住宅の床面積の2分の1以上が居住用で
あること。
⑥増改築等の日から6ヵ月以内に自己の居住の用に供すること。
(注)住宅ローン控除の適用が受けられる「増改築等」とは、原則として、
①戸建住宅の場合にあっては、増築、改築、大規模な修繕・模様替
②マンションの場合にあっては、その専有部分である床、間仕切壁、外壁の室内
面または階段の一以上について行われる過半の修繕、模様替
③マンションを含む家屋の一室の床または壁の全部について行われる
修繕・模様替
④地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの
に適合する一定の修繕又は模様替(例えば、筋かいの設置や合板による壁の補強
、土台と柱の接合部の補強、基礎の補強等の耐震改修工事など)
⑤一定のバリアフリー改修工事
⑥ー定の省エネ改修工事
⑦多世帯同居改修工事とされています。
二、新耐震基準に適合していることの
証明方法
中古住宅を取得して住宅ローン控除、登録免許税の特例、不動産取得税の特例、贈与税の住宅取得等資金贈与の非課税特例及び相続時精算課税の特例、特定居住用財産の買換え特例の適用を受けるための要件のなかに「新耐震基準に適合することが証明されたもの」という記述があります。この証明書(耐震基準適合証明書)は、建築士(登録事務所に属する建築士に限る)、指定確認検査機関又は登録住宅性能評価機関に依頼し、耐震診断を受けて、取得しなけれはなりません。
また、対象住宅が「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく住宅性能評価書において耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等叝1以上である場合は、証明書に代えることができます。
三、控除が受けられる借入金等の範囲
次の借入金または債務で、その年の12月31日現在の残高が控除の対象となります。
なお、これらの借入金または債務には、前述の新築住宅または中古住宅とともに取得をするその敷地の取得資金に充てるための借入金 (住宅の取得に係る借入金と一体として借り入れたものに限られます。)が含まれます。
1. 住宅取得等の資金として、銀行などの民間の金融機関、住宅金
融支援機構、地方公共団体等からの借入金で、その償還期間が
10年以上の割賦償還の方法によって返済するもの
2. 建設業者に対する住宅の取得等の工事請負代金の債務、宅地建
物取引業者、都市再生機構 (旧都市基盤整備公団)、地方住宅供
給公社等に対する住宅の取得による支払債務で、賦払期間が10
年以上の割賦払の方法によって支払うもの
3. 都市再生機構 (旧都市基盤整備公団)、地方住宅供給公社等の分
譲した中古住宅の承継債務で、承継後の債務の賦払期間が10年
以上の割賦払方法によって支払うもの
4. 給与所得者等が、その勤務先から借り入れた借入金またはその
勤務先に対する住宅の取得等の代金の債務で、償還期間または
賦払期間が10年以上の割賦償還または割賦払の方法によって返
済し、または支払うもの
(注)上記④のような借入金等であっても、それが、年利率0.2 %未満 (平成28年12月31日以前に居住用家屋を自己の居住の用に供する場合は1%未満) のものである場合や会社役員が会社から借り入れるものなどは、控除の対象になりません。また、利息に対応するものも対象になりません。
四、控除される金額
住宅ローン控除による控除期間の各年分の所得税から控除される金額は、次の算式によって計算されます。(令和4年1月1日から令和7年12月31日まで入居分)
年末借入金額残高×控除率=ローン控除額
①新築住宅または買取再販住宅の場合
(注1)「認定住宅等」とは、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、及び省エネ基準適合住宅をいい、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅を「認定住宅」といいます。
(注2 )ここでの買取が該当します。
(注3 )令和5年12月31日までに新築の建築確認が行われたものが対象となります。
② 中古住宅又は住宅の増改築等の場合
③東日本大震災の被災者等の場合
五、個人住民税の取扱い
令和4年分以後の所得税において住宅ローン控除の適用がある者(住宅の取得等をして令和4年から令和7年までの間に居住の用に供した者に限る)のうち、その年分の住宅ローン控除からその年分の所得税額 (住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額とする) を控除した残額があるものについては、翌年度分の個人住民税において、その残額に相当する額をその年分の所得税の課税総所得金額等の額の5% (最高9.75万円)の控除限度額の範囲内で減額がされます。
六、控除を受けるための手続
住宅ローン控除適用を受けるには、控除を受ける金額の計算明細書のはか、次の書類を確定申告書に添付して、税務署に提出しなければなリません。
七、令和5年以後の入居分の住宅ローン控除の手続
令和5年以後の入居分の住宅ローン控除の手続は、つぎのようになります。なお、令和4年以前に入居した方は、従来と同じです。
①借入れた金融機関等に「住宅ローン控除申込書」
を提出します。
↓
②申請を受けた金融機関等は、その申請書の提出を受けた日の属する年の翌年以後の控除期間の各年の10月31日 (その提出を受けた日の属する年の翌年にあっては、1月31日) までに、その申請書の12月31日における住宅借入金等の金額等を記載した調書を作成し、その金融機関等の本店又は主たる事務所所在地の所轄税務署長に提出します。
↓
③控除を受ける者は、税務署から年末残高の情報等の交付を受けます。
↓
④税務署からの情報等に基づいて、入居した年の翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行います。 (年末残高証明書とか新築工事の請負契約書等の写し等)の添付が不要となります。
↓
⑤2年目以降の年末調整では、税務署からの「住宅ローン控除証明書」に基づいて「住宅ローン控除申告書」を作成し、勤務先に提出します。 (住宅ローン控除証明書を添付し 年末残高証明書は不要です。)