相続税
相続したときの税金
相続税とは一一一一一
相続税とは、人がなくなったときに、その亡くなった人(被相続人といいます。)から財産の移転を受けた場合にかかる税金です。この相続税は、相続や遺産(遺言によるもの)によって財産を取得した個人に対して課されるものですが、その財産の課税価格の総額が遺産にに係る基礎控除額以下であれば、課税されないこととされています。
一一一一一相続税とは
相続税のかかる財産とは
相続税のかかる財産は、亡くなった人のすべての財産が対象となりますが、お墓や仏壇などの特定のものは対象とされません。また、生命保険金とか死亡退職手当金などは、 亡くなった後に妻などが受け取るもので、 相続によって取得したものではありませんが、これも相続財産とみなされて、相続税の対象となります。
法定相続分とは
法定相続分とは、民法によって各相続人が取得する財産の割合を定めているものです。ただ、これは法律で定められた権利の割合ですから、実際上は相続人の協議によって各相続人の取得する財産の配分を決めることになります。
法定相続分は、次のようになっています。
(注1)子供が数人いる場合は、その子供間では均等となります。例えば、配偶者と子供三人の場合は、次のようになります。
配偶者 1/2
子供それぞれ 1/2×1/3=1/6
(注2)法定相続人とは、相続の放棄があった場合でも、その放棄がなかったものとした場合の相続人といいます。
相続税額の計算方法
1、課税価格の計算
相続税のかかる財産の価額
ー
債務及び葬式費用
+
生前贈与財産の価額(死亡前三年以内に贈与されたもの)
=
課税価格(各人別に計算します)
2、課税遺産総額
各人の課税価格の合計額
一
基礎控除額
=
課税遺産総額
基礎控除額は、次の算式で計算します。(平成27年1月1日以後の相続)
3,000万円+600万円×法定相続人の数
したがって、各人の課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば相続税はかからないことになります。
(注)法定相続人の中に養子がある場合において、上記の算式の法定相続人の数に含めることができるのは、養子以外に実子がいるときは1人のみ、実子がいないとき2人までとされています。
3、相続税の総額の計算
課税遺産増
×
法定相続人の法定相続分の割合
×
相続税の税率
=
各人の法定相続分に対する税額
各人別の法定相続分nに対する税額を合計したものが相続税の総額になります。
く相続税の速算表>一平成27年1月1日以後の相続又は遺贈ー
(注)課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして計算します。
4、各人の算出税額の計算
相続税の総額
×
各人の実際に所得した財産の課税価格
課税価格の合計額
各人別に計算します。
(注)配偶者およびー親等の血族(子供とか親)以外の人が財産を取得した場合には、2割増の税額となリます。また、被相続人の養子となった被相続人の孫(代襲相続人である者を除く)も2割増の税額となリます。
5、税額から控除されるもの
○配偶者の税額軽減
相続税の総額
x
いすれか少ない方
・課税価格の合計額x配偶者の法定相続分(最低1億6千万円)
・配偶者の実際に取得した財産の課税価格
課税価格の合計額
したがって、配偶者が実際に取得した財産の価額が、課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を乗した金額と1億6,000万円のいずれか多い方の金額までであれば、配偶者の納付すべき相続税額はゼロとなります。
○このほかに、贈与税額控除(1の課税価格の計算上、生前贈与として加算された財産について贈与税が課されている場合)、未成年者控除(20歳未満(令和4年4月1日以後は18歳未満)の法定相続人に適用)、障害者控除 (障害者である法定相続人に適用)、相次相続控除( 10年間に2回以上の相続があった場合)、外国税額控除(外国の財産を取得して外国の税金がかかった場合)があリます。
なお、このように相続税の計算は、かなり複雑になっています。簡単に相続税額の概算額を知リたい方は、後に示す相続税額の早見表を参考にして下さい。
小規模宅地等についての軽減
事業用または居住用の宅地等については、その面積のうち小規模宅地部分 (事業用にあっては400㎡までの部分、 居住用にあっては330㎡までの部分、貸付用にあっては200㎡までの部分) について、相続税の課税価格に算入されるべき価格の計算にあたリ、次の限度面積まで下記の減額割合で軽減されます。
なお被相続人からの贈与(死因贈与を除きます)により取得した宅地等は、この軽減特例の対象となリません。したがって相続時精算課税制度を選択して贈与を受けた宅地等も適用対象となりませんので、こ注意下さい。
(注)平成26年12月31日以前の相続又は遺贈については、特定居住用宅地等に該当する宅地の限度面積が、240㎡となリます。また、平成27年1月1日以後の相続又は遺贈より特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用が可能です。
特定居住用宅地等とは
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(その宅地等が2以上ある場合には、主として居住の用に供されていた一の宅地に限ります。)で、被相続人の配偶者又は次に掲げる要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続等により取得したものをいいます。
イ 被相続人の親族が、相続開始の直前にその宅地等の上にある被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その家屋に居住していること
ロ 被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した親族が、相続開始前3年以内にその者又はその者の配偶者の所有する家屋 (相続開始直前に被相続人が居住していた家屋を除きます。) に居住したことがない者であリ、かつ、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有していること
(注)ロは、被相続人の配偶者又は相続開始直前にイの家屋に居住していた法定相続人がいない場合に限り適用されます。
ハ その親族が被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の居住の用に供していること
(注1)平成27年1月1日以後の相続又は遺贈については、適用対象となる特定居住用宅地等に、被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物のうちその被相続人、その被相続人の配偶者又は被相続人の親族の居住の用に供されていた一定の部分に対応する宅地等が追加されました。
また、 適用対象となる宅地等の範囲に、被相続人の居住の用に供されていた宅地等で一定の事由により相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていなかったものも追加されました。
(注2) 平成30年4月1日以降の相続又は遺贈については、 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の要件について、特例の適用を受けようとする被相続人の親族が次に掲げる要件を満たすことが追加されました。
イ 相続開始前3年以内に、相続税法の施行地内にあるその親族の3親等内の親族又はその親族と特別の関係にある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと
ロ 相続開始時においてその親族が居住している家屋を過去に所有していたことがないこと
特定事業用宅地等とは
被相続人等の事業 (不動産貸付業等を除く) の用に供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続等により取得したものをいいます。
イ その親族が相続開始時から相続税の申告期限までの間にその宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、 その事業を営んでいること
ロ 被相続人の親族が被相続人と生計を一にしていた者であって、相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の事業の用に供していること
(注)平成31年4月1日以後の相続等により、特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に新たに事業の用に供された宅地等 (一定の規模以上の事業を行っていた被相続人等のその事業の用に供されたものを除く。) を除外することとされました。
特定同族会社等事業用宅地等とは
相続開始の直前に被相続人及びその被相続人の親族その他特別関係者が有する株式の総数又は出資の総数が株式又は出資に係る法人の発行済株式の総数又は出資の総数の50%を超える法人の事業の用に供されていた宅地等で、その宅地等を相続等によリ取得した被相続人の親族(申告期限においてその法人の役員である者に限リます。)が相続開始時から申告期限まで引き続き所有し、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用に供されているものをいいます。
貸付事業用宅地とは
被相続人等の事業(不動産貸付業等)の用に供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続により取得したもの(特定同族会社等事業用宅地などを除き、一定の部分に限ります)をいいます。
ィ その親族が、相続開始時から申告期限までの間にその宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きその宅地等を所有し、かつ、その貸付事業の用に供していること
ロ 被相続人の親族が被相続人と生計を一にしていた者であって、 相続開始時から申告期限まで引き続きその宅地等を自己の貸付事業の用に供していること
(注)平成30年4月1日以後の相続又は遺贈については、貨付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(相続開始の日まで3年を超えて引き続き一定の貨付事業を行っていた者のその貸付事業の用に供されていたものを除く。) が除外されました。
なお、平成30年4月1日前に賃貸を開始した宅地等は除かれます。
申告の手続きは
課税価格の合計額が基礎控除額を超え、かつ、納付すべき相続税額がある場合には、相続の開始(死亡したこと) を知った日の翌日から10カ月以内(被相続人の死亡時の住所地の税務署へ申告書を提出しなければなりません)相続人が複数のときは、全員の連名によるのが一般的です。)
また、申告書には、被相続人の死亡時における財産や債務等を記載した明細書や戸籍謄本(コピー可)又は「法定相続人情報一覧図の写し」など、さらに、配偶者の税額軽減や小規模宅地の特例の適用を受ける場合は遺言書の写し又は、遺産分割協議書の写し及び印鑑証明書を添付する必要があリます。
なお、相続税額は、上記の期間内に一括して銀行等で納付することになりますが、一括して納付することが困難な場合には、延納(利息に相当する利子税というのがかかリます)とか物納という制度を利用することができます。
情報開示制度
相続争いなどで相続又は遺贈によって財産を取得した他の者(「他の共同相続人等」という)が生前に贈与を受けた財産が把握できないと相続税の計算ができませんので相続又は遺贈によって財産を取得した者は、相続税の申告に際して、他の共同相続人等が、被相続人から相続開始前3年以内に取得した財産又は他の共同相続人等が被相続人から取得した相続時精算課税制度の適用を受けた財産に係る贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格の合計額について、被相続人の死亡時における所在地の税務署長に開示の請求をすることができます。
相続税額の早見表
例えば、相続人が配偶者と子供2人(合計3人)で、相続財産について計算した課税価格の合計額が2億円としますと、2億円の欄と2人の欄の交点である1 ,350万円が相続税額となります(配偶者は税額軽減によって税額は0としているので、子供2人分の税額です)。なお、この表は、平成27年1月1日以後の相続又は遺贈の場合です。
(注1 ) この表は、相続人が配偶者と子供のケースです。
(注2 ) この表は、配偶者と子供が法定相続分 (配偶者1/2、子供1/2、子供が2人以上の場合は子供分は均等) に応じて遺産を取得したものとして税額を計算してあります。 配偶者は、取得財産が配偶者軽減の最低保障額1億6.000万円までか、法定相続分に基づく財産の取得の場合には、税額が0となりますので、配偶者の取得分を法定相続分ではなく、1億6.000万円までとすることによって、上表の相続税額が少なくなるケースがあります。例えば、課税価格の合計額が、1億2.000万円の場合、法定相続分によって取得すると納税額が出ますが、配偶者が財産の全部を取得しますと、最低保障額の1億6.000万円以下ですから、税額は0となります。