リバースモーゲージと住宅ローン
リバースモーゲージとは、高齢者が所有する住宅や土地などの不動産を担保として、生活資金、住宅取得資金等を定期的または一括して融資し、所有者の死亡時にその担保不動産の処分やその他の金融資産によって一括返済するものである。また、住宅ローンは返済とともに融資残高が減少していくのに対して、リバースモーゲージでは融資(分割)に伴い残高が増加していくところにも特徴がある(図表1、 2)。
将来の地価の下落などによる担保割れにより、融資が減額されたり打ち切られるといった問題点もあるが、不動産を所有するものの現金収入が少ない高齢者には利用価値が高いともいえる。
なお、住宅金融支援機構では、民間金融機関と提携し、満60歳以上(または50歳以上)の方を対象に住宅融資保険を活用したリバースモーゲージ型住宅ローン(【リ・バース60】)の提供を支援している(図表3)。
【リ・バース60】の2021年度の付保申請(借入申込) の戸数は、1,630戸(対前年度比40.3%増え)、2021年度末の取扱金融機関数は80機関(対前年度末比12.7 %増) であり、それぞれ増加している(図表4)。
付保申請戸数および取扱金融機関数が増加している要因は、近年、高齢者向けの住宅ローンのラインナップを考える金融機関が増えていること、ノンリコース型の導入などの商品性の改善により利用しやすくなったこと、【リ・バース60】の認知が進んできたことなどがあげられる。
また、2021年度のノンリコース型の利用割合は99.3%であり、ノンリコース型*の利用が浸透している(図表5)。
*ノンリコース型の場合、相続人は、担保物件(住宅および土地)の売却代金が残債務に満たなくても、残った債務の返済は不要。
(図表1 ) リバースモーゲージのスキーム
(図表2 ) リバースモーゲージと一般の住宅ローン比較
(図表3 ) リバースモーゲージ型住宅ローンの事例
(図表4 ) 【リ・バース60】の利用実績
(図表5 ) 【リ・バース60】の借入申込者の利用実績
(2021年度に付保申請のあった案件)
(図表6) 金融機関によるリバースモーゲージの借出実績(アンケート結果)
※上記の残高は、回答のあった金融機関の合計金額であり、必ずしも市場全体の規模を表すものではない。
(注)nは、無回答を除く有効回答数